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2006年2月 4日 (土)

雇用破壊 非正社員という生き方 鹿嶋敬著

私の評価 ○ 2006年2月読書koyouhakai

バブル以降に増加してきたパート、派遣社員の問題を雇用 側、労働者側、社会問題の視点から取り上げた一冊。

雇用労働者として働く約5000万人の内、1500万人、約1/3がパートや派遣社員等の非正社員が占めている事実には驚かされた。

夫の収入を補佐して家計を助けるためにパートになる女性、希望する会社に就職するためのつなぎとしてアルバイトを利用する若者、自分にあった仕事を見つけるためや専門性を生かす、時間に余裕を持つためとの理由で派遣社員として働く若者。労働者側が自ら非正社員を選択しており、雇用者側は忙しいので簡単な仕事は非正社員にと、90年代初めまでは、こうだった。

現在は、雇用者側の理由、すなわち「コストダウン」が目的で、パートや派遣を増やしている。人は単なる儲けるための道具であり、人材や人財ではなくなってきた。 正社員の枠が少なくなり、正社員になりたくてもなれない。
派遣会社に派遣社員要員として就職した息子に話す父、「今は辛くてしんどくても、上司は見ている。頑張っていればいずれは認めてもらえるから、頑張れ」。これは昔の正社員として雇用されていたときの話。
派遣社員として派遣先で働く若者はいくら頑張っても、出世はできない。派遣先は低コストの道具として若者を見ており、派遣会社も利益を上げる道具としか見ていない。単なるコマである。
人は評価されて、自分の暮らしがよくなるから頑張る。生きがいとなり、会社に忠誠を尽くしてきた。 正社員を減らして、派遣社員を増やす、これからの日本はどうなるのだろうか?

著者は一旦フリーターになると、なかなか抜け出せないという。中年フリーターが増加している。男性フリーターは収入が不安定で結婚に踏み切れない。少子化とともに社会不安の要因ともなる。年収300万円以下の家庭の子供が非正社員になる比率は、それ以上と比べて多いという。低所得者の循環拡大が続くことになる。そうなると、税収、年金、保険等社会制度が崩れていく。

国会でもこの問題が取り上げられ「正社員になればいい」と言う政治家に、著者は「なれないから問題なんだ。日本の将来にかかわる問題だ」と主張する。 
くしくも、同じ情景が今週あった。与野党の「低所得者が増加している」の質問に、小泉首相は「光があれば影もある。影を見るのではなく、やっと光がさした光をみろ」と。 一度この著者と公開議論でもさせたいものだ。

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受信: 2006年2月 6日 (月) 13時13分

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受信: 2006年2月13日 (月) 10時39分

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